膝が痛い

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

変形性膝関節症イメージ

膝関節の軟骨がすり減ることにより、慢性炎症や変形が生じ、膝に痛みが生じる病気です。平地での歩行は平気でも階段で膝が痛い、歩行時の膝の痛みはなくても正座はできないといった初期症状があります。症状が進むと、次第にO脚が進んでいき、階段のみでなく平地での歩行にも支障をきたすようになります。旅行などの特別なことではなく、日常生活上で支障をきたすようになると進行している可能性が高くなります。

症状

初期:
立ち上がり、歩きはじめなど、動作の開始時のみに膝の痛みがある
中期:
正座や階段の昇降がむずかしい、膝に水がたまる
末期:
安静時にも痛みがとれずO脚が進み、膝がピンと伸びず歩行が困難

治療

内服:
抗炎症薬を処方します
指導:
膝の負担を減らすために減量を指導します
リハビリ:
大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練を指導します
注射:
関節内注射を行います
PFC-FD療法:
血小板の組織修復を促進する能力で治癒を促す治療法です
手術:
保存療法で効果が出ないときに検討します

オスグッド病

オスグッド病イメージ

10歳から14歳くらいの成長期のスポーツ選手に多く、膝蓋骨というお皿の骨から数センチ下の脛骨粗面の腫れや運動時の痛みがでます。ケガではなく繰り返すスポーツの負荷によっておこるスポーツ障害です。

症状

  • 膝の皿の下の骨が徐々に出てきて痛み、腫れ、熱感がある
  • 休んでいると痛みがなくなるが、スポーツを再開すると痛みも再発する

治療

内服薬:
抗炎症薬を処方します
リハビリ:
大腿四頭筋のストレッチングを指導します
注射:
炎症を抑える効果があります

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)※ランナー膝

ランナー膝イメージ

ランニングや自転車など、膝の屈伸をくり返すことによって腸脛靭帯に局所的な炎症を起こして、膝の外側に痛みが発生します。オーバートレーニングが原因で発症する場合と、急に長距離を走ったり、山登りをしたときに発症する場合があります。ある一定距離を走ると痛みを生じることや、下り坂を走る時に痛みを増すのが特徴です。スピード練習によりストライドを広げることも要因となります。

症状

  • ランニング中やランニング後に、膝の外側に痛みが生じる
  • 膝の外側に圧痛を感じる

治療

内服:
抗炎症薬を処方します
リハビリ:
筋肉の柔軟性を向上させることで痛みを抑えます
注射:
エコーを用いて正確に注射します

半月板損傷(はんげつばんそんしょう)

半月板は膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の板で内側・外側にそれぞれありクッションの役割があります。半月板を損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。ひどい場合には、膝に水がたまったり、急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になり歩けなくなるほど痛み生じます。

症状

  • 膝に痛みがある
  • 膝に水がたまる
  • 急に膝がうごかなくなるロッキングの状態である

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
リハビリ:
筋肉の柔軟性向上や筋力の改善により痛みの進行を抑えます
注射:
エコーを用いて正確に注射します
手術:
保存療法で効果が出ないときに検討します

膝靭帯炎(ひざじんたいえん)※ジャンパー膝

ジャンパー膝イメージ

ジャンプと着地を繰り返すことにより、膝のお皿の下の膝蓋靭帯に負担がかかり、炎症が生じます。ジャンプ時に痛みや違和感を感じるため、力が入らず十分なパフォーマンスを発揮できなくなります。スキー、バレーなどの競技の場合には筋力不足により、後半に姿勢が後傾することで膝蓋靭帯に負担がかかり、膝蓋腱の炎症をもたらします。

症状

軽度:
スポーツ中に痛みを感じる
中等度:
スポーツ中やスポーツ後にも痛みがある
重度:
痛みが常にある
最重度:
膝蓋靭帯の損傷や断裂

予防と治療

予防:
運動後のアイシング、フォームの改造など
内服薬:
痛みや炎症を抑えます
リハビリ:
大腿四頭筋の柔軟性、筋力アップにより痛みの進行を抑えます

鵞足炎(がそくえん)

スポーツを行う人に多い膝の慢性的な炎症症状です。すねの骨である脛骨の内側には縫工筋・薄筋・半腱様筋・半膜様筋の4つの筋が扇状についており、それが鵞鳥(がちょう)の足のように見えるため「鵞足」と呼ばれています。ランニング、バスケット、サッカー、水泳など膝に負担のあるスポーツで発症が多く見られます。

症状

  • 膝の内側に痛みがある
  • 階段の昇降で膝の内側に痛みがある
  • 椅子から立ち上がる時に膝の内側に痛みがある

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
リハビリ:
筋肉の柔軟性向上や筋力の改善により痛みの進行を抑えます

足が痛い

足関節靭帯損傷(そくかんせつじんたいそんしょう)※足関節捻挫

足関節靭帯損傷イメージ

足関節の捻挫はスポーツでもっとも多いケガのひとつです。また日常生活でも段差でひねって捻挫するなど、よくみられるケガのひとつです。捻挫は無理がきくケガと思われがちですが、不完全な状態でスポーツ活動を再開すると、再発などを招くこともあるため注意が必要です。

捻挫のレベル

Ⅰ度:
腫れも痛みも軽く一時的に靱帯が伸びている状態
Ⅱ度:
靱帯の一部が部分断裂し切れている状態
Ⅲ度:
靱帯が完全に断裂しており関節が不安定な状態

治療

  • 安静、アイシング、包帯などで固定します
  • リハビリ
  • 一定期間ギブスで固定します

扁平足(へんぺいそく)

扁平足イメージ

足の裏にある土踏まずが潰れ足裏が平らになった状態です。幼児の頃から足裏が平らでそのまま残っているタイプは痛みがあまりありません。一方、中年以降に発症する扁平足では内側のくるぶしの下が腫れ、痛みが生じます。

症状

  • つま先立ちがしにくい
  • 内側のくるぶしの下の腫れや痛みがある
  • 足が硬くなって歩行障害がある

予防と治療

  • インソールを作成します
  • 土踏まずや後脛骨筋の負担軽減のため減量を指導します
  • リハビリ:アキレス腱を柔軟にするよう指導します

足底腱膜炎(そくていけんまくえん)

足の裏にある、踵から足の指の付け根までを伸びている足底腱膜が炎症をおこし、痛みなどの症状が出る病気です。足底腱膜炎や足底筋膜炎と呼ばれています。足底腱膜は、アーチ状になっている足の土踏まずを支える重要な役割があり、足への衝撃を和らげるクッションの働きがあります。

症状

  • 足裏や踵に痛みがある
  • 朝起きて最初の1歩が痛い
  • 急に歩き出すと痛い

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
指導:
足底腱膜の負担軽減のため減量を指導します
リハビリ:
特に下肢後面の柔軟性低下を改善します
装具:
足底腱膜に対する負担軽減のためインソールを作成します
注射:
痛みが強い場合は直接患部に注射します

後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)

後脛骨筋腱炎は、足首内側後方と周囲を通る腱(後脛骨筋腱)が摩耗した状態です。足関節の動きに問題があるために過度の緊張が継続することで起こります。

症状

  • 歩行時に踵やその周辺が痛い 
  • 足の裏を押すと痛い 
  • 夕方になると痛みが強くなる
  • 運動後に痛みが出たり、運動翌日に痛い
  • 階段の昇降やつま先立ちなどすると痛い

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
リハビリ:
下肢後面の硬さ、足指の機能不全などの足部の形態異常を改善します
テーピング:
患部の負担軽減のため必要に応じてテーピングをします
装具:
足底部のアーチ形態をサポートするためインソールを作成します
注射:
強い痛みがある場合に患部に注射します

外脛骨障害(がいけいこつしょうがい)

足の内側のアーチの中央付近が少し膨らんでいて、その部位が痛くなります。思春期の女性、激しいスポーツを行う方、10歳くらいの若年者に多いと言われています。

症状

  • 足部内側の舟状骨突出部に圧痛がある
  • 運動時や歩行時にも疼痛がある

治療

リハビリ:
足関節や足部機能改善を図ります
注射:
炎症を抑えます
装具:
内側縦アーチの保持のためインソールを作成します