手のひらがしびれる

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手根管症候群イメージ

手のしびれを感じて受診される方に最も一般的な疾患です。手根管とは、手首の部分にある骨と手根靭帯に囲まれた空間のことであり、指を曲げる腱と正中神経が通過します。手根管内で何らかの原因により正中神経が圧迫されると、手根管症候群が発生します。

症状

  • 手首から先の手指に限ってしびれがある
  • 早朝や深夜に強いしびれがある
  • 小指はしびれない
  • 首を反らしても手や腕の痛みやしびれが増さない

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
保存療法:
装具を処方します
注射:
手根管内への注射をします
手術:
保存療法で効果が出ないときに検討します

指がこわばる

ばね指

指の腱鞘炎のことです。掌側の指の付け根に痛みが生じます。放置すると腱や腱鞘が腫れて腱がうまく動かなくなり、ばねのようなかくかくとした動きが見られるようになります。
ばね指の主な原因は家事などによる指の使い過ぎがあげられます。また更年期や妊娠・出産などでホルモンバランスが乱れる時期の女性や、糖尿病などの持病を抱えている人にも見られます。

症状

  • 指の付け根の痛み、腫れ、熱感
  • 日中に指を使っていると症状が軽減するが、朝方に症状が強くでる
  • 指の曲げ伸ばしに引っかかりがある

治療

保存療法:
局所の安静、投薬、腱鞘内ステロイド注射をします
エクオール(自費):
女性ホルモン(エストロゲン)と類似した作用で手指の不調に対して症状緩和が期待されます
手術:
改善しない場合や再発を繰り返す場合に検討します

第一関節の変形や痛みがある

ヘバーデン結節

ヘバーデン結節イメージ

指の第1関節が変形し曲がってしまう疾患です。第1関節の背側の中央の伸筋腱付着部を挟んで2つのコブのような結節ができるのが特徴です。いろいろな程度の変形があります。すべての人が強い変形になるとは限りません。

症状

  • 人差し指から小指、まれに親指にかけて、第1関節が赤く腫れたり曲がったりする
  • 第1関節の動きが悪くなる
  • 痛みを伴うこともあり、痛みのために強く握ることがむずかしい
  • 第1関節の近くに、水ぶくれのような透き通ったでっぱりができる

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
保存的療法:
局所の安静、テーピングをします
エクオール(自費):
女性ホルモン(エストロゲン)と類似した作用で手指の不調に対して症状緩和が期待されます

手首が痛い

ドケルバン病

ドケルバン病イメージ

手首の親指側の腱鞘炎です。症状は物をつかむ動作やタオルを絞る動作などで手首の親指側に痛みが出ます。ばね指などの他の腱鞘炎を併発することがあります。

症状

  • 物を掴む、タオルを絞るなどの動作で、手首の親指側に痛みが生じる
  • 親指を広げる、動かすなどの動作で、手首の親指側に強い痛みを感じる

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
保存的療法:
局所の安静、内服薬処方、腱鞘内ステロイド注射をします
エクオール(自費):
女性ホルモン(エストロゲン)と類似した作用で手指の不調に対して症状緩和が期待されます
手術:
保存療法で効果が出ないときに検討します

親指が痛い

母指CM関節症

母指CM関節症イメージ

母指は親指のことです。中手骨と大菱形骨の間にはCM関節があります。CM関節は可動域が広く、握ったり、つまんだりといった動作で負担がかかります。この関節が変形を起こしたものを母指CM関節症と呼びます。

症状

  • 瓶の蓋を開ける時やボタンをかける際に、親指の付け根付近に痛みがある
  • 手首にある親指の付け根付近が膨らんできて、親指が開きにくい

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
保存的療法:
局所の安静、関節内注射をします
エクオール(自費):
女性ホルモン(エストロゲン)と類似した作用で手指の不調に対して症状緩和が期待されます
装具:
CM関節保護用の軟性装具などで固定します
手術:
保存療法で効果が出ないときに検討します

肘が痛い

上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)※テニス肘

テニス肘イメージ

中年以降のテニス愛好家に生じやすいためテニス肘と呼ばれます。テニスはもちろん、物を持ち上げたり、手をひねったりする動作を繰り返すことが原因です。上腕骨外側上顆炎を発症すると、痛みの影響から日常生活動作に悪影響を生じることがあります。

症状

  • 物を掴んで持ち上げたりタオルを絞る動作で、肘の外側から前腕にかけて痛みがある

治療

内服薬:
痛みや炎症を抑えます
装具:
サポーターを処方します
リハビリ:
手首や指のストレッチを指導します
注射:
炎症を抑える効果があります
手術:
保存療法で効果が出ないときに検討します
PRP療法:
血小板の組織修復を促進する能力で治癒を促す治療法です

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

肘で尺骨神経に圧迫や牽引などが加わって生じる神経の障害です。肘の内側の部分で、尺骨神経という神経が傷むことで、小指側がしびれたり、手の細かい動きが上手にできなくなります。麻痺が進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と薬指の変形がおきます。

症状

  • 手首から先の小指側がしびれ、その際に薬指は小指側の半分しかしびれない
  • 肘を曲げていると症状が強くなる
  • 箸が使いづらいなど指先の細かい動きがうまくできない
  • 手の筋肉が痩せてきた

治療

内服薬:
炎症や神経の興奮を和らげます
注射:
炎症を抑える効果があります
手術:
保存療法で効果が出ないときに検討します