ハイドロリリース(筋膜リリース)とは

筋膜とは

筋膜イメージ

からだの筋肉は筋膜という薄い膜に包み込まれています。筋膜は筋肉表面や1本ごとの筋線維、骨、内臓、血管、神経など、全身のあらゆる組織をつないでいて多くの機能を担っています。筋膜には主に、各組織の保護、姿勢の維持・力の伝達という大きく分けて3つの役割があります。

筋膜は、ウェットスーツのように全身に張り巡らされ、表層から深層まで立体的に包み込むため、からだを支える第二の骨格であるといわれています。この筋膜は柔らかい組織なので癒着しやすい特徴があります。この筋膜の癒着が、コリや痛みを招き、筋肉の柔軟性を損なう原因になっているということが、最近の研究からわかってきました。

筋膜が機能異常を起こすメカニズム

筋膜は網目状の構造になった線維で、動作に合わせて伸縮しています。同じ姿勢を保ち続けると一部が伸び切る、または縮こまる高密度化を起こし、痛みなどを起こします。それが繰り返されるとそのまま固定してしまい、慢性化したこりなどの症状につながります。
伸び切った筋膜や高密度化した筋膜は、水分含有量が減少して滑りが悪い状態になってスムーズな動作を妨げ、筋膜の鋭敏な感覚が痛みなどの情報を脳に伝えます。
ハイドロリリースは、こうした機能異常を起こした筋膜の状態をもとに戻す治療法です。

ハイドロリリースとは

ハイドロリリースとは、筋膜、靭帯、腱膜、関節包などに生理食塩水、低濃度の麻酔薬、ヒアルロン酸などの液体を注入することによって、組織の癒着を剥離し動きが悪くなった末梢神経を滑らかに動くようにすることで痛みやしびれを軽減する治療法です。

ハイドロリリースの効果

筋膜に直接アプローチして癒着やしこりを解消できるため、筋肉の動きが改善されて痛みの解消あるいは軽減が期待できます。また神経の癒着も解消するため、痺れの解消や軽減効果も期待できます。スムーズに動かせるようになって可動域も広がるため、身体を楽に動かせるようになったと感じる方も多くなっています。

単純なストレッチとの違い

ストレッチでもある程度は筋膜の状態を改善できますが、単一方向に起こっている高密度化にしか効果が期待できないため限界があります。一方、ハイドロリリースは高密度化した筋膜だけでなく、伸び切った筋膜でも効果を得られます。あらゆる方向への圧をかけられるため幅広い機能異常への効果的な治療が可能です。

超音波診断装置(エコー)によるハイドロリリース(筋膜リリース)

超音波診断装置(エコー)イメージ

さらに、近年の超音波診断装置(エコー)は、画像解析が飛躍的によくなり、レントゲンだけでは見えなかった組織まで見えるようになってきました。医療機器と観察技術の進化によって、より詳細な観察が可能な超音波(エコー)検査を行えるようになり、こりや痛みといった症状に筋肉を包んでいる筋膜の癒着が関与していることが近年になってわかってきています。これによりハイドロリリース(筋膜リリース)が可能となりましたです。
当院におきましてもエコーで画像を見ながら注射をおこなう、ハイドロリリース(筋膜リリース)を積極的に行っています。

安全性が高いハイドロリリース

超音波診断装置(エコー)イメージ

この治療では、超音波(エコー)検査機器によってリアルタイム画像を確認しながら必要な場所へピンポイントに薬剤を注入することで癒着やしこりを解消します。超音波(エコー)検査は胎児の状態を確認するためにも使われるほど安全性の高い検査です。そのため、お身体に負担をかけずに何度でも繰り返し行うことができます。
また、従来行われてきた局所注射と異なり、ハイドロリリースに用いられる薬剤は生理食塩水に微量の麻酔薬・鎮痛薬が含まれたものなので、副作用の心配は少ないです。

理学療法士によるリハビリを併用

当院では、ハイドロリリースとあわせて理学療法士によるマンツーマンでのリハビリも行っております。診察で得られた患者様の情報をリハビリスタッフと共有し、運動療法で筋肉を強化し、正しい姿勢やフォームを取り戻すことで症状の再燃を防ぎます。慢性的な肩こり、腰痛、首の痛みなどをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

治療後のご注意

ハイドロリリースで癒着などが解消しても、身体の使い方を改善しない限り再び癒着を起こして繰り返し症状を起こしてしまいます。再発を予防するためには、正しい姿勢を楽にとることができるように筋肉を鍛えたりストレッチをしたりと手入れをしていく必要があります。

当院では、患者様の状態に合わせて必要な筋肉を効率的に鍛えることができるリハビリ治療を提供しています。ハイドロリリースを受けた後、一定期間リハビリを受けていただくことで再発防止に役立ちます。